精油を安全に使用する方法

精油を安全に使用する方法

精油は、健康的なライフスタイルのひとつとしてウェルビーイングを豊かにするために安全に使うことができるものです。それらは日々数十万人の人々に使われながらも、大抵の場合は事故も起きていません。しかしながら、精油は強力な効果を持つ物質で、真面目に学ばず、ろくに気をつけずに使用した場合には人体に危害を及ぼすこともあります。ビンに入った精油は、植物の状態に比べると50から100倍は濃縮されているので、精油の安全性に関する問題が植物そのものやハーブ・エキストラクトを使用する場合にそのまま当てはまるわけではありません。

精油の安全性については学ぶべきことが実にたくさんあるのですが、このページでは基本的なガイドラインだけを紹介するに留めておきます。

これを読んでいらっしゃる方の中に、精油の有害反応を現在体験している方がありましたら、ファーストエイド・ガイドラインをご参照ください。

有害反応が起きてしまいましたか?

局所的な使用と希釈濃度

未希釈原液精油を肌にそのままつけないでください。簡単なことです。1年あたり数百人、あるいは数千人が体験している、もっとも有名な精油の有害反応は皮膚のトラブルで、そのもっとも一般的な原因は、精油の原液使用なのです。人々が精油を原液で皮膚に使ってしまう原因は、大抵(1)無知:誰からもそれをやってはいけないと習わなかった、あるいは(2)誰かから原液で皮膚につけても安全だし効果があると勧められた、のどちらかでしょう。

使用用途推奨濃度標準濃度
フェイシャルスキンケア、デオドラント0.2~1.5%1%
ボディオイル、ローション1~3%2%
浴用製品2~4%3%
ニキビ治療、傷の手当て2~10%4%
疼痛、 “気分転換”のためのロールオン3~10%5%
局所使用に対する推奨濃度早見表 ©Tisserand Institute

上記の表は、様々な場面で使用する精油の一般的な希釈濃度ガイドラインです。子どもに対しては、以下の“子ども”の項目に掲載したチャートをご参照ください。大人に対する希釈濃度のガイドラインこちらです。レモングラス、クローブ、シナモンバークなどの精油は、他の精油よりも皮膚反応が起きやすいです。しかしながら、比較的安全と言われている精油で有害反応が起きるケースも多くみられます。そのような場合、大抵は未希釈精油の使用が原因なのです(有害反応データベース(英語のみ)を参照)。これらの精油に不純物が含まれているからではないのです。高品質な精油は原液で皮膚に塗っても副作用を起こすことはないと謳っている会社が、実は多くの有害反応を起こしているブランドなのです。希釈濃度とリスクは直結しているということは、単純な事実で、これは皮膚学と毒物学においては周知の現象です。

あなたがもしも精油に”アレルギーによる炎症反応”を起こしたとしたら、それはあなたの免疫がそれを抗原として覚えてしまったという意味で、通常終身続きます。つまりその場合は、一度反応が起きてしまったら生涯その精油を避けなくてはならないでしょう。アレルギー性接触皮膚炎を対象とした有害反応報告はこちら(英語のみ)をご参照ください。ちなみに、”刺激による炎症反応”は、免疫系を介さず、通常、不適切な使用によって起こるものです。刺激性接触皮膚炎に関する有害反応報告はこちら(英語のみ)をご覧ください。

精油を使用した入浴

おそらく一番大切なことは『精油の原液を直接湯船に垂らして、そのまま足を踏み入れるようなことはしない』でしょう。精油は水と混ざり合わないことは周知の通りで、たとえ手でよくかき混ぜたとしても、湯船の湯の表面に小さな粒になって浮くだけですから、これはあなたがその未希釈精油の無数の粒の中に、座ろうとしていることなのです。精油を分散剤なしで水に”混ぜる”ということは、未希釈の原液精油が皮膚に直接つく、それもしばしば敏感な部分の皮膚につくという意味ですから、かぶれのリスクがあります。おまけにお風呂の場合は、湯によって精油が温められ、さらに皮膚についたものが湯の中に入ってしまうと湯が邪魔して揮発できなくなりますので、しばしば酷い反応が起きます。精油を加えた入浴剤・浴用製品に関する有害反応報告はこちら(英語のみ)を参照ください。ともかく、精油はいつでも完全に分散させ、適切な基材に希釈してから湯船に入れる必要があります。私は、精油の安全性マスタークラス、もしくは精油の安全性ガイド第2版のなかで、”精油を入浴に使用する場合の安全性”というテーマで、適切な分散剤とその使い方、なぜエプソム塩や牛乳に希釈したのではダメなのかというような情報を提供しています。

目と耳

未希釈の原液精油を目につけないこと、これは化学やけどの原因となり、これによって一時的に視力がなくなることがあります。希釈した精油は目の周辺に使うことは可能です。

未希釈精油は耳の中に垂らすべきではありませんが、希釈した場合はコットンボールや綿棒につけて、耳の中に使用することができます。

精油の内服

精油の内服は、それを処方することができる資格を有した専門家の監督下でない限りは、すべきではありません。精油を内服すると身体の様々な器官にリスクが生じるのですが、これは他の実践法では起こらないことです。精油は原液(未希釈)状態での内服はすべきではないし、水に滴下しての内服もしてはいけません。なぜならばこれらの場合、口腔内や消化器官に炎症が起きるリスクがあるからです。これは先に説明した入浴時に起こることと似ていますが、粘膜組織は外部の皮膚よりも敏感であること、腸は粘膜の浸食がかなり進んでからでないと痛みのシグナルを出さないことから、より深刻な事態となります。精油類は食品フレーバー業界で広く使われていて、食品のフレーバリングに使用する精油の多くはGRAS基準合格証を得ていますが、だからと言って医薬品として使えるかというと話は別です。大抵の精油は1日あたり1〜2滴相当量の内服ならば妥当でしょうが、それ以上の量は推奨できません。

吸入と芳香浴

精油を、スチーム吸入などのような、至近距離で集中的に吸入する方法で15〜20分以上の時間吸入することはお勧めできません。しかしながら、環境中に精油を噴霧しているものを間接的に吸入する場合は上記には当てはまりません。とはいえ、環境芳香浴の場合でも、1日中ずっと香りを出すよりは、間欠的に行う方が良いでしょう。例えば、精油をディフューザーに30〜60分使ったら、その後の30〜60分はスイッチを切るという感じです。我々の身体や神経系は精油の香りが長く香っていると、それに順応して刺激を受け取りにくくなりますから、間欠的使用の方が安全性的にも実践的にもより効果的なのです。実践法にかかわらず精油を使用中、あるいは精油をディフューザーで香らせた後は換気をすると良いでしょう。

ぜんそく

香水はぜんそく発作を誘発するということが知られていますが、精油で同様のことが起きた事例は、正式にはひとつも記録されていません。しかしながら、ぜんそく患者がある特定の精油の香りを嗅ぐと発作の引き金になったらしいという噂は、いくつか存在します。

火気

精油は可燃性であり、火のすぐ近くでの使用は危険ですし、そのような場所での保管は避けるべきです。精油は爆発物ではないのでディユーザーを使用して間接的に熱すれば安全ですが、先述のリスクが全くないとはいえません。その観点からティーキャンドルと精油原液を使用するアロマポットはお勧めできませんが、フレグラント・キャンドルは問題ありません。

子どもたち

精油類は、小さな子どもたちの手の届かない場所に保管し、彼らに精油ビンを扱わせないようにしてください。2歳児でさえ、精油ビンのふたのあけ方を知っていて、場合によってはそれを飲んでしまいます。ドロッパー付きの精油ビンは多少効果がありますが、それでも小さい子供はビンから液体を吸ってしまうのが常です。乳幼児の誤飲は、たいてい救急病棟に駆け込む事態になります。それで命に別状があることは稀ですが、毎年、数件は重体に近い事例があります。そのようなアクシデントを防ぐためには、すべての精油類はチャイルドセーフティ・キャップ付きで販売されるべきです。これで完全にリスクを回避できるものではありませんが、いくらかは効果があるはずです。

年齢別の推奨濃度早見表

上記の早見表は、年齢別の推奨希釈濃度表です。表の上から3つの低年齢グループ(6歳児まで )の場合、この濃度をすべての局所的使用時に適用してください。その次のふたつの年齢グループ(6歳児から成人まで)の場合、推奨濃度はあくまでフルボディへの使用に限ります。そこで、局所的(小範囲の皮膚エリア)な使用の場合にはこの推奨濃度よりも高い濃度を使用することもできます。”成人向け精油の希釈濃度に関するガイドライン”こちらを参照ください。

禁忌

皮膚症状がある、妊娠中、てんかんやぜんそく患者、処方薬を内服中、あるいは少しでも何か気にかかる体調の場合、精油を使用する前に、信頼の置ける専門家や医師のアドバイスを受けるようにしてください。これが、精油によるリスクを最小限にする、一般的な安全性ガイドラインです。最後に強調したいことは、リスクと危険は異なるものですが、それらはどちらも常に考慮に入れるべきことだということです。

危険 とリスクの違い

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