有害反応が起きた場合にすべきこと

有害反応が起きた場合にすべきこと

あなたか、もしくはあなたが一緒にいる誰かが深刻な有害反応を起こしている場合は、地元の総合病院の救急外来、もしくは日本中毒情報センターに、速やかに助けを求めてください。

精油による有害反応は、ほとんどの場合、重篤な事態には陥りませんが、小さい子どもが相当量の精油を内服した場合などは、緊急に医療介入が必要となります。5歳以下の幼児による精油の誤飲事故は、精油の内服毒性発症の中では最も一般的で、アメリカではその他の年齢層と比べると10倍多く起きています。(Gummin et al 2017)

2歳以下の乳幼児は精油ビンのフタを自分であけることができるので、ドロッパー付きのビンであっても中身の殆どを吸いながら飲んでしまいます。精油の内服毒性に対する、ファースト・エイド(救急措置)のまとめを、以下に紹介します。緊急ケアが必要な場合、あるいは少しでも不安に思うことがある場合には、地元の病院の救急外来、もしくは日本中毒情報センターに電話してください。

日本

日本では、とっさの誤飲事故などで救急外来へ行くべきか迷った場合は、救急安心センター(電話番号は♯7119)に電話すると医療従事者が電話口で相談にのってくれます。一刻も早く救急車を呼びたい場合は、119番です。

日本中毒情報センター中毒110番の番号は

大阪072−727−2499(24時間)

つくば029−852−9999(9時〜21時)

ファースト・エイド対処法

皮膚有害反応

これはすべての年齢層にわたって最もよく起こる精油による有害反応で、しばしば未希釈の原液精油の使用と関連しています。炎症を起こした皮膚に対する、最も穏やかで便利な、非医療的対処法としては、オートミールを使用する方法があります。

兆候と症状

いくつかの精油に局所的に曝露した場合、かぶれ、アレルギー反応、光感作などの局所的な皮膚反応を起こすことがあります。上記の反応のすべてに、焼けるような赤い皮膚炎症がみられ、かゆみ、痛み、発疹(小さな水泡)を伴う場合もあります。珍しい事例では、皮膚反応が精油を使用した皮膚から離れた部位の皮膚に現れたというものが報告されています。非常に稀な事例では、アナフィラキシーショックを引き起こします。これは、唇、舌、喉の腫れ、呼吸困難、血圧の劇的な降下を伴うことがあります。このような事例では、即座に救急車を呼んで下さい。

すべきこと、すべきではないこと

• 反応が起きているときは、精油は絶対に使わないこと!
• 精油がついている衣服は脱ぐこと。
• 皮膚を(無香料)石鹸で、最低でも10分間は優しく洗い流す。
• その後皮膚をなるべく空気に晒し(直射日光は避ける)、皮膚に残留している精油の揮発を促す。
• オートミールを入れたぬるま湯の風呂に浸かることは、炎症をなだめ、炎症の拡大を食い止めるのに役立つ。(インフォグラフィックを参照)
• シンプルなバリアクリーム、または低濃度のコルチステロイドクリームを塗るというのは、一般的な医療的なアプローチ。(アレルギー性接触皮膚炎にも局所的なコルチステロイドを塗ることは可能)
• 抗ヒスタミン薬の内服はかゆみの軽減を助ける。(抗ヒスタミン剤を局所に塗るのは、アレルギー性接触皮膚炎のリスクがあるので要注意)

炎症が手強く落ち着かない場合には救急安心センター(♯7119)に連絡。

目の炎症

これは通常、(精油のついた指で目を触る、目薬と間違えて違う製品を目に滴下などの)うっかりした事故で起こる。目は化学熱傷をとても起こしやすいので、未希釈の原液精油は目や目の近くに絶対に使わないこと。

兆候と症状

精油が目に入ってしまうと、赤目と流涙が起こり、子供の場合目を擦ってしまいがちです。

すべきこと、すべきでないこと

• できるだけ早く、大量の水で15〜30分間目を洗い流すこと。油を目に点眼するのではなく、大量の水で洗い流すほうが良いのは、水の方が物理的に洗い流す効果が期待できるから。これは精油が溶けるかどうかという意味ではなく、単に一刻も早く精油を目から遠ざけたいということ。
• 洗面器やシンクに水を張り、顔を水に浸ける、そして目を開けたり閉じたりして、目のすべての部分に水を行き渡らせる。蛇口から流れる水やシャワーなどで穏やかに目を洗っても良い。指を使って瞼を開けたり閉じたりしながら行うと良い。

眼球をいろいろな方向に動かしながら洗うと、隅々まで目を洗うことができる。以下のURLを参照のこと。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/25-外傷と中毒/眼のけが/眼の熱傷
• コンタクトレンズを着用していたときには、まずは着用したまま大量の水で洗い、その後5分後に取り外すこと。その後また目を洗い続ける。
• 瞼を指で押し上げて、目を隅々まで洗い流すこと。
• 十分に水で洗い流したのちには、植物油を目に点眼しても良い。
• 炎症が手強く落ち着かない場合には救急安心センター(♯7119)に連絡。

誤飲

精油を大量に誤飲する場合、一度に飲もうが、長期間かけて飲もうが、いずれにせよ毒性が生じます。’大量’の定義は、精油の種類やその個人の体重によっても変わります。オーバードーズによる最も一般的な毒性は、大人の目の届かないところで幼児が精油ビンの中身を誤飲した場合です。毎年、致死量に近い量を誤飲する事例が起きています!

精油類は絶対に子どもの手の届かない場所に保管してください。

兆候と症状

当初の症状は、粘膜炎症、腹痛、嘔吐、下痢、ひきつけ発作、中枢神経系抑制で、やがては肝機能不全、腎機能不全が引き起こされます。(Riordan et al 2002)

すべきこと、すべきでないこと

• 無理やり吐かせないこと (何度も接触すると腐食性化学成分が消化管の粘膜を破壊するし、吐いている最中に間違って肺に紛れ込むリスクもある)
• 当事者に意識があり、ひきつけ発作も起こしていないならば、口の中を水で洗い流し、即座に救急安心センター(♯7119)か日本中毒情報センター中毒110番(072−727−2499(24時間))に電話する。アルコールは厳禁。
• 当事者がもしも発作を起こしているか、意識不明の場合は、口から一切何も与えず、気道確保し、頭を低く横向きに寝かせ、『回復体位』を取らせる。
• 地元の救急外来に連絡し、速やかに救急車か、病院までの交通手段を手配する。
• ちなみに、活性炭が精油の中毒を中和するという話があるが、これは効果がないことが証明されている。(Jepsen and Ryan 2005)

吸入

精油の香りを吸入することは、通常危険なことではありませんが、20分以上集中的に吸入を行った場合には、呼吸器系の抑制や神経系症状を起こすこともあり得ます。これらの症状には、頭痛、吐き気、目や喉の焼けるような感覚、咳、浅い呼吸、子どもにおいては呼吸が遅くなることが確認されています。

すべきこと、すべきでないこと

• 当事者を新鮮な空気の環境に移動させる
• 呼吸をしていない場合には、人工呼吸を行う
• 症状が深刻な場合には、医療機関に連絡

点鼻

精油を点鼻した場合の有害反応としては気道の炎症が一般的で、鼻腔の炎症から始まって、呼吸器系器官に様々な度合いの浮腫や、呼吸機能の抑制が起こり、しまいには呼吸停止が引き起こされます。この経路から相当量の精油成分が吸収された場合には、誤飲と同様、全身中毒症が起こる可能性もあります。(Tisserand & Young 2014)

すべきこと、すべきでないこと

• 当事者を新鮮な空気の環境に移動させる
• 呼吸をしていない場合には、人工呼吸を行う
• 症状が深刻な場合には、医療機関に連絡

参考文献

Gummin, D.D., Mowry, J.B., Spyker, D.A., et al (2016). Annual Report of the American Association of Poison Control Centers’ National Poison Data System (NPDS): 34th Annual Report. Clinical Toxicology, 5(10), 1072-1252.

http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/15563650.2017.1388087

Jepsen, F., & Ryan, M. (2005). Poisoning in children. Current Paediatrics, 15(7), 563–568. http://doi.org/10.1016/j.cupe.2005.08.006

Riordan, M., Rylance, G., & Berry, K. (2002). Poisoning in children 4: Household products, plants, and mushrooms. Archives of Disease in Childhood, 87(5), 403–406.

http://doi.org/10.1136/adc.87.5.403

Tisserand, R., Young, R. (2014). Essential Oil Safety 2e. Churchill Livingstone, Edinburgh

How to put someone into the recovery position, CPR blog at CPR-Test.org, http://cpr-test.org/how-to-put-someone-into-the-recovery-position/, accessed Jan 9, 2018