グレープフルーツ精油と医薬品

グレープフルーツ精油と医薬品

ハナ・ティスランド

医師は、CYP3A4酵素によって代謝される特定の種類の薬(スタチン系薬剤;コレステロールを下げる薬や、カルシウム拮抗剤;血圧を下げる薬*など)を服用している場合、グレープフルーツジュースを摂取しないよう注意を促しています。グレープフルーツジュースはこの酵素を阻害するため、CYP3A4が減少し、その結果、これらの薬の作用に影響を及ぼします。これは「薬物相互作用」と呼ばれます。では、グレープフルーツの精油を使用する場合も注意が必要なのでしょうか?

グレープフルーツジュースによる相互作用は、主にジヒドロキシベルガモチン(dihydroxybergamottin)によるものですが、この成分は精油では不検出なのです。グレープフルーツジュースに含まれるもう一つの相互作用を引き起こす成分はベルガモチン(bergamottin)で、これは精油にも含まれています。ただし、ベルガモチンがCYP3A4酵素に及ぼす作用は、ジヒドロキシベルガモチンに比べると弱いのです。

したがって、グレープフルーツ精油については、大量に摂取(内服)しない限りリスクはありません。具体的にどの程度の量かは正確には分かっていませんが、おそらく1日あたり少なくとも1mL程度と考えられます。カンキツ系精油について、既知の相互作用が報告された例は、これまでありません。

*翻訳者が医薬品説明を追加

ハナ・ティスランド

ティスランド・インスティテュートのCOO。彼女は7人のスタッフを監督し、教育プラットフォームの管理、トレーニングコースの企画、ウェビナーの開催、ブログ記事の委託、インフォグラフィックやソーシャルメディアコンテンツの制作監督、ニュースレターの執筆などを手掛けている。彼女は、どういうわけか自分のブログ記事を書く時間も見つけ、頼れるIT担当者でもある。医師と看護師の家庭に育ったため、人体の仕組みに根底から興味を持ち、後に医療翻訳を専門とするようになった。チェコ国籍のハナは、翻訳と通訳の分野で7年の経験を持ち、フランス語と英語も堪能。政治家、作家、教育者、医療専門家などの通訳を務めたことで、情報を効果的に伝え、トラブルを回避する方法について貴重な視点を得た。ハナは、2015年からロバート・ティスランドと仕事を共にするようになり、エッセンシャルオイルに関する情報がどのように集められ、編集され、伝えられているかということについて独自の視点を持っている。

翻訳 池田朗子 M.I.F.A.   

1994年以降東京を中心にアロマテラピー講師として活動開始、現在に至る。2000年に英国へ転居後は教育活動の他、日英雑誌への執筆、国際カンファレンスへの登壇、『精油の安全性ガイド第2版』など翻訳も多数手がけている。英国IFA理事(2005〜06年)www.aromaticsworld.com